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こうしてできた、父の「My Photo Story」

こうしてできた、父の「My Photo Story」

父の年忌法要を期に、残ったものの整理に取り掛かかりました。そのときに一番困ったのは、アルバムなどに納められたプリントのままで残る大量の写真の整理です。
私はこれまで仕事の中で写真と関わる機会が多く、「写真とは何か?」を真剣に考えたこともありました。一枚の写真がとても雄弁であり、そこから広がる思い出を家族や仲間で語り合い共有すれば、何とも言えない豊かな時間を過ごすことができる。そんな写真の持つ力を、かねてから実感していたのです。

父の写真を見返しながら、「親子として長く付き合ってきた中で、私は父のことをどこまで知っていたのだろう?」ということを考えました。そして、「父の生き方について今一度、断片的な記憶ではなく、事実として知っておきたい!」という強い思いが湧き上がり、“父が生きた歴史を写真から確かめること”という自分なりの課題を設けたうえで、大量の写真の選定に取り掛かりました。
結果的に残ったのは100枚近くの貴重な写真たち。ほかの写真は思い切って処分することにしました。
年賦を作成するときに順番に写真を並べていると、「生前に聞いた生誕の地はこんな山村だったんだ」「満洲の新京だと勝手に思い込んでいた勤務地は、韓国の京城だった」など、新たな発見が続出。「そうだったのか!」と、思わず心の中で叫ぶことも多くありました。

写真に簡単な文を添えるほか、撮影当時の出来事にまつわる写真を朝日新聞フォトアーカイブから取り寄せたり、壮年期に勤務していた会社から受けた辞令なども資料として添えたりしていきました。
出来上がった1冊はわずか20ページ余りではありましたが、私はこの作業を通じて「父という人物が歩んだ人生」を、自分の中で一つの物語のようにつないでいくことができたのです。単に写真を片付けるのではなく、あるテーマを設けて取捨選択してつないでいく。このプロセスは、まさに自分の今後の生き方に対する父からの教えともいえる、大きな糧となった嬉しい作業でした。

こうした体験をベースに、この作業を写真整理にお悩みの方に役立つであろう「My Photo Story」としてシステム化し、提供することとしました。何冊ものアルバムから大事なエッセンスを絞り出して、一冊だけに収める。この一冊は、これから家族で受け継いでいくにふさわしい、価値の高い宝物となることを確信しています。